機動戦士ガンダムUC episode 4「重力の井戸の底で」
福井晴敏インタビュー 要約版
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――今作は小説の6巻、7巻の内容をひとつに凝縮した形でしたが、これは始めからその予定だったんですか?
福井:ええ。何かを大きく削らないと、収まるわけがないのは最初からわかっていたから。古橋(一浩)さんから、「シャンブロがダカールで大暴れするシーンは、アニメでまともにやったら2年かけても完成しません」と言われていたこともあって、じゃあダカールのくだりをまるっと削ろう、と。あれはもともと最初期のプロットにはなかったものだし。
――ダカールのパートは、小説でも元々プロットにはなかったんですか?
福井:あれはカトキハジメさんがシャンブロを描いてきたのが始まり。「こんなの描いてみたんだけど……いや、別に使えっていう話じゃないんで」って言って、しまおうとするわけ。そりゃ「ちょっと待ちなさいよ」ってなるでしょう(笑)。そのときに見たのは、名前も用途も定かでない純然たるラフ稿だったんだけど、とにかくすごいインパクトがあった。これを活かすなら話の中心に据えて、一本組まないとダメだと思って、できたのがダカール編です。砂漠からトリントン、ガルダへと直結していた流れに、ダカールでのドンパチをあとから組み込んだ形ですね。
――では、アニメでは構想本来の形に戻ったわけですね。
福井:そのはずだったんだけど、また古橋さんが「でも、やっぱり首都ダカールの戦いがないと、大きな戦争にならない。第三次ネオ・ジオン戦争にならない気がする」と言い出して(笑)。う~んと悩み抜いて、あるとき、冒頭の陽動作戦でダカールを襲撃して、その後にメインはトリントンという二段重ねにしたらどうだろうと思いついたんです。古橋さんも、冒頭の短い呎だったら何とかなると言ってくれたので、小説の6巻、7巻前半部分をうまくミックスさせれば何とかいけるんじゃないかと……。そこからはトントンと作業が進んだけど、とっかかりが見つかるまでは本当に大変でした。
――シャンブロもそうですが、事前に謳っていた通り、メカシーンは圧倒的なクオリティでしたね。
福井:メカはもう玄馬(宣彦)さんの独り舞台で、ノリに乗って描いてましたね。俺も監督もプロデューサーも、正直言ってあそこに何のモビルスーツが出てるのかわからないから。「あのまつ毛ロボ(編集部注:ゾゴック)、何!?」みたいな(笑)。
――ファースト世代の次というか、子供のころにいろんなMSを見た世代にとっては楽しくてしょうがないシーンです。
福井:玄馬さんもその世代なんですよね。俺は最初のガンダムブームのあとそのまま卒業しちゃったんでMSVはよく知らないんだけど、あれを見たときは、「何これ!?」ってなった。特に、最初にコアラロボ(編集部注:ジュアッグ)(笑)とか、「出したい」って言われた時は正直困りました。コレが出てきたらお客さん笑っちゃうんじゃないのって。でも玄馬さん曰く「こいつらこそ輝かせたい」と。玄馬さんはメカ作監というより、メカ演出まで請け負っている部分があるし、それでこれまでの3話を実際に輝かせてきた実績もあるわけだから、じゃあもうお任せしよう、と。なので今回、戦闘シーンはほとんど玄馬さんが絵コンテも切ってます。
(中略)
――ロニはepisode 4の重要キャラですが、小説とはだいぶ変わったキャラでもありますね。
福井:そこも最初は悩みました。女の子がでっかいメカのパイロットって、パターンでしょ? 小説では彼女の父親が生きていて、一家で乗り込んでるんだよね。でも一家を1時間内で描くのはとても無理。じゃあイケイケのお父さんの怨念と、本心ではそれを拒否したいロニのキャラクターをひとつに統合しようということで、アニメ版のロニは生まれてきました。でも、そうやってひとつ変えると別のところにも影響が出るもので、たとえばロニの最後。小説では、バナージはシャンブロにロニが乗っていることを知らない。でも、ロニに導かれるように、シャンブロを撃つ。そのときにはすでにロニは死んでいたし、シャンブロを動かしていたのは父親だったから何の問題もないんだけど、アニメではシャンブロの中はロニ1人。それに、バナージは彼女がパイロットであることを知ってしまっている。で、ロニが暴走したシャンブロを抑えきれなくなって、「私を撃ってくれ」とする流れを考えたんだけど、古橋さんから、「ギルボアを殺めたことに対してこれからどう埋め合わせをしていこうと考えているバナージに、さらにロニを殺させるのはいかがなものか」と言われて。うん、まあそりゃそうなんだけど、俺も脚本のむとう(やすゆき)さんも死ぬキャラクターとしてロニを積み上げてきてるから、彼女が生き残るという選択肢は絶対にないわけですよ。あれだけ人を殺しちゃってるし、それは泣いて謝って済むことじゃないからね。でも古橋さんは、「バナージにはもう人を殺させたくないないんだ」と譲らない。「シャンブロに操られていただけで、虐殺は彼女の意思ではなかったというのはどうだ?」って意見も出たんだけど、俺としてはそれこそアニメ的な発想で、「UC」では絶対にやるべきではないと思った。人がしたことに対して、人がどう責任を取るのか? 「UC」ではそれを一貫して描いてきたし、ファーストだってそう。シナリオ会議でそんな話をして、なんか八方塞がりの空気になってきたときに、むとうさんが思いついたんです。「そうだ、リディに殺させよう!」と。リディにとってはひどい話なんだけど、みんな「それだ!」って膝を打ちましたね(笑)。リディはこれからダークサイドに落ちていくわけだし、その前振りという意味でもちょうどいいということで。
――クライマックスでのバナージの葛藤と、リディのあの目は印象的でした。では最後に、これから観るファンに一言お願いします。
福井:episode 4はシリーズの折り返し地点になる回で、「UC」の目指すところがいちばん出ていると思います。目から耳から情報が溢れるくらいの濃い内容です。ぜひ劇場へ観にきていただければと思います。
※あくまで要約です。ブライト役の成田剣さん、ロニ役の伊瀬茉莉也さんについて語った部分は割愛しました。また、インタビューは福井晴敏さんだけでなく、成田剣さん、伊瀬茉莉也さんも掲載されています。元記事をお読みになりたい方は、月刊ガンダムエース2011年12月号をお求めください。
http://blog.goo.ne.jp/kouryakuka ... 7217718f33df275bc37
巻頭特集。ブライト役の成田さんインタ掲載。
ロニ役伊瀬さんのインタ掲載。
成田さんインタで気になったところだけ。
・ブライト役はオーディションで決まった。
しばらく連絡がなくて駄目だと思って忘れかけていたら
電話が来た。
原作者福井さんのインタも掲載。
ブライト役に関して。
・ブライトの声についてはep1を作っている頃から話をしていた。
その時に小形Pが「成田さんがいいと思う」と言っていた。
それから数年たってオーディションで大御所にも集まってもらったが
成田さんが断トツで「ブライト」だった。
まさに「(ブライトが)帰ってきた!」という感じだった。