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■「機動戦士ガンダム サンダーボルト」スタート記念 太田垣康男インタビュー
月刊ホビージャパン2012年5月号
「機動戦士ガンダム サンダーボルト」スタート記念
太田垣康男インタビュー 要約版
「MOONLIGHT MILE」の太田垣康男が語る
ガンダムとの出会いから「機動戦士ガンダム サンダーボルト」まで
――初めて「機動戦士ガンダム サンダーボルト」(以下サンダーボルト)の漫画を描いてほしいといわれたときはどう思われましたか?
太田:神保町で(ビッグコミック)スペリオールの編集長と食事しているときに「太田垣さん、ガンダムやりません?」といわれまして、「やります」ってその場で即答しました。
(ガンダムとの出会いの部分は長いので割愛)
――続いていよいよ連載がスタートした「サンダーボルト」についてうかがいたいと思います。まず、舞台が宇宙ということで、「MOONLIGHT MILE」の太田垣さんが、どこまでリアルな宇宙をガンダムの世界で描かれるのかが気になるのですが?
太田垣:やりすぎてしまうとドラマが作れないし、科学者のように宇宙を熟知しているわけではないですから、あくまで、ガンダムの世界を描くうえで、演出上必要な舞台装置のひとつにとどめています。
――第1話ではコロニーの残骸が浮かぶ宇宙空間が新鮮でした。
太田垣:「機動戦士ガンダム」の世界を改めて考えたとき、一年戦争ではたくさんのスペースコロニーが破壊されていますよね。地球なら残骸は地上にたまりますが、宇宙だと残骸がそのままそこに存在し続けるんですよ。しかもスペースコロニーは巨大なので残骸の数も多い。そんな空間で戦うなら、モビルスーツのような存在が必然となるんじゃないかと思って考えました。それにコロニーの残骸の描写はアニメだと「Ζガンダム」で少しあったと思うのですが、漫画ではほとんど描かれたことが無かったのでやってみました。そういうわけで宇宙空間には残骸をたくさん浮かべているんですけど、描いてみると作画が大変で…。普通の宇宙ならベタで簡単なんですが。「みんながやらないのは大変だからか」と思い知りました(笑)。
――代表作「MOONLIGHT MILE」でも魅力的な宇宙服やメカを数多くデザインしてきた太田垣さんですが、モビルスーツをデザインするうえで、意識したことはどんなことですか?
太田垣:あえて変えてやろうとは思わず、自分がメカをデザインするうえでこだわっている部分やラインをモビルスーツに入れ込んだらどうなるか? を考えながらデザインしました。もともとモビルスーツのデザインは好きなんですが、やっぱりアニメのためにデザインされたものなので、現実の宇宙で使うことを考えると合理的で無いと思ったんです。まあ合理性を突き詰めてしまうと、人型である必要も無くなってしまいますけどね(笑)。でもあえて人型にこだわったとき、どこまで合理的にできるか? ということでしょうか。
――太田垣さんのイメージするモビルスーツとはどういったものでしょうか?
太田垣:モビル“スーツ”であるから服なんだと思ってデザインしています。宇宙服の延長線上というのがファーストガンダムの発想の原点だと思うので、原点に戻ったようなものです。
――太田垣さんが描くモビルスーツの特色のようなものがあったら教えてください。
太田垣:今まで見たことが無いようなものを出せるはずが無いんですよ(笑)。ガンダムの世界でね。30年も続いている作品ですから。そのなかで自分なりの特色を付けるとすると、自分はこれまで「MOONLIGHT MILE」で現実に近い宇宙開発メカを描いてきましたから、その経験を「サンダーボルト」のモビルスーツにも反映させています。今回のジムも関節部が布で覆われていますが、これはスペースシャトル等に使われていたカナダアームの関節部分をイメージしました。実は今回の立体化企画では、ここが作例でどう表現されるか楽しみなんです。
――カラーリングについてはいかがですか?
太田垣:ジムの色も最初は白をやめようかと思いました。合理的に考えると宇宙空間では白は目立ちすぎるので本当はもうちょっと黒っぽくしたかったんです。でも黒にすると作画が大変なんですよね。「MOONLIGHT MILE」でも昔「ナイトメア」というシャトルを同じ理由で黒いカラーリングにしたんですが、実際にやると本当に大変。今回はジムが大量に登場するし、その経験があったのであきらめました。合理性も追求しすぎると自分の首を絞めるな、と思ったので。
――でも理想は黒?
太田垣:理想としてはモビルスーツは黒! 宇宙空間では黒、月面で戦うならグレー。レーダーの効かない空間なら目視で見つかったら終わりですから、迷彩効果は大事だと思うんです。スペースシャトルとかNASAの宇宙船が白いのは発見しやすいようになんですよ。遠くからでも見えるように。でもそれは戦場だと致命的ですよね。だからもし「サンダーボルト」がアニメ化されたらそうして欲しい(笑)。そんな未来が来るといいですね。(後略)
☆知られざる一年戦争の軌跡「機動戦士ガンダム サンダーボルト」とは?
<ストーリー>
一年戦争末期、スペースコロニーや戦艦の残骸が無数に漂う暗礁宙域・通称“サンダーボルト宙域”に多数のジムが突入した。彼らの目的はジオン公国軍にとって重要な補給路となっている、この宙域の制宙権を奪還すること。過酷な任務だが、若きパイロット、イオ・フレミングにとってはそれが日常だった。華麗な操縦で残骸のなかを宙域の深部へと進むイオとその仲間たち。戦場はもう目前に迫っていた…。
<キャラクター>
▽イオ・フレミング少尉
地球連邦軍所属。ジオン公国軍によって破壊されたスペースコロニー、サイド4「ムーア」の生き残りで、その再建を悲願とする「ムーア同胞団」の若きエースパイロット的存在。だがみずからは、いつまでも出自に縛られ続けることを窮屈に感じている。
▽ダリル・ローレンツ曹長
ジオン公国軍所属。“サンダーボルト宙域”と呼ばれる暗礁宙域の最前線でレーザー砲を構えるパイロット。まだ若いが、以前の戦闘により両足を失っており、義足。だが宇宙空間で的確に敵の位置を把握する特殊な能力を持っている。
※インタビューの約1/3を要約しました。インタビューの他にも、モビルスーツのデザイン画や立体造形など14ページに及ぶ「機動戦士ガンダム サンダーボルト」特集が掲載されています。元記事をお読みになりたい方は、月刊ホビージャパン2012年5月号をお求めください。